内縁関係を解消する場合、財産分与を請求することができますか。

内縁の解消

 内縁の解消とは、婚姻における離婚と同義といえます。
 離婚の場合には、財産分与が認められますが、内縁の解消の場合にも、財産分与は認められるでしょうか。
 内縁は、法律婚をしたものではありませんが、内縁にも可能な限り法律婚に準じた取り扱いが認められており、財産分与は認められると考えられています(広島高決昭和38年6月19日)。
 したがって、内縁の解消の場合でも、家庭裁判所に申し立てることにより、財産分与の請求をすることが可能です。

重婚的内縁の解消の場合

 重婚的内縁とは、法律婚の配偶者がいる一方で、内縁の配偶者がいることをいいます。
 このような重複的内縁の場合にも、解消する場合に、財産分与は認められるでしょうか。
 この点について、東京高決昭和54年4月24日は、「婚姻関係の方が夫婦としての実を失って事実上の離婚状態にあるのに対し、その婚姻外の男女関係にこそ夫婦としての実がみられるときはこの男女関係は、重婚的ではあれ内縁関係にほかならない」と述べ、法律婚が事実上破綻している一方、内縁に社会通念上夫婦の実態がある場合には、財産分与の請求を認めています。

財産分与の手続

 財産分与は、離婚の場合と同様、内縁関係の解消を協議する内縁関係調整調停を家庭裁判所に対して申し立て、その中で協議されるのが通常です。
 また、内縁解消時に財産分与の取り決めを行わなかった場合にh、法律婚と同様に、内縁解消後2年以内であれば、財産分与を申し立てることが可能です。
 内縁解消による財産分与調停が不成立となったときには審判手続に移行し、審判手続内で、財産分与の内容が決められることになります。

内縁の一方当事者が死亡した場合

 内縁の一方当事者が死亡した場合、その配偶者はどのように取り扱われるでしょうか。
 まず、内縁の配偶者には相続権は認められません。
 そこで、一方当事者の相続人に対して、財産分与を主張できるかが問題となります。
 この点に関しては、過去に類推適用を認めた審判例もありましたが、最決平成12年3月10日は、
「死亡による内縁解消のときに、相続の開始した遺産につき財産分与の法理による遺産清算の道を開くことは、相続による財産承継の構造の中に異質の契機を持ち込むもので、法の予定しないところである」として、財産分与規定の類推適用を否定しました。
 したがって、 内縁の配偶者は、一方当事者の相続人に対して、財産分与を主張することはできません。
 このように、法律婚の配偶者は相続権があるのに対し、内縁の配偶者は財産分与による保護も受けられないため、内縁の配偶者には不利な点もあるということができます。
 
 なお、大阪高決平成23年11月15日は、内縁解消後、財産分与の審判手続中に分与義務者である内縁の夫が死亡した事案において、内縁解消によって財産分与請求権が発生しているため、財産分与義務は相続の対象になるとしています。
 上記の裁判例では、「内縁解消によって財産分与請求権が発生している」と述べていますが、これは、離婚における財産分与請求権も同様であり、最判昭和50年5月27日は、「財産分与の権利義務の内容は、当事者の協議、家庭裁判所の調停若しくは審判又は地方裁判所の判決をまって具体的に確定されるが、右権利義務そのものは、離婚の成立によって発生し、実体的権利義務として存在する」と述べています。
 したがって、内縁解消後で2年の除斥期間内に配偶者が死亡した場合には、内縁の配偶者は財産分与を請求することができると考えられます。

 以上をまとめると、内縁関係が継続している最中に配偶者が死亡した場合には、内縁の配偶者は相続人に対して財産分与を請求することはできないのに対し、内縁解消後2年以内であれば、内縁の配偶者は相続人に対して財産分与を請求することができるということになります。
 

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