養育費の強制執行はどのように行いますか。

養育費の支払を受ける方法

 調停等で養育費の支払額が決まっているものの、相手方がこれを支払ってくれない場合、支払を受ける方法としては、以下の方法があります。
 ① 履行勧告
 ② 履行命令
 ③ 直接強制
 ④ 間接強制

履行勧告

 養育費の調停・審判をした裁判所は、権利者の申出があるときは、義務の状況を調査し、義務者に対し、義務の履行を勧告します(家事事件手続法289条)。
 履行勧告を行うにあたって、特に費用などはかかりません。
 履行勧告は、通常、家庭裁判所より義務者に対し、書面を送付する方法で行われます。
 なお、履行勧告に従わない場合も、特にペナルティなどはありません。

履行命令

 養育費の調停・審判をした裁判所は、相当と認めるときは、権利者の申立てにより、義務社に対して、相当の期限を定めてその義務の履行をすべきことを命ずることができます(家事事件手続法289条1項、3項)。
 履行命令を行うにあたっては、義務者の陳述をきく必要があります(家事事件手続法289条2項)。
 履行命令がなされた後に、義務者が正当な理由なくその命令に従わないときは、家庭裁判所は10万円以下の過料に処するとされています(家事事件手続法289条5項)。

直接強制

 養育費を定めた調停や審判を債務名義として、義務者の預金や給与、不動産等を差し押さえて、取り立てることができます。
 この場合、債務名義や執行文その他を準備のうえ、原則として義務者の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所に申し立てることによって行います(民事執行法144条1項)。
 すでに養育費の期限が到来し、未払いになっている分はもちろん、期限が到来していない分についても、一部に不履行があるときは、債権執行を開始することができます(民事執行法151条の2)。
 また、義務者の給与債権を差し押さえる場合、通常は差押禁止の範囲が4分の3ですが、養育費に係る金銭債権を請求債権にする場合には、差押禁止の範囲は2分の1に減縮されます(民事執行法152条)。

間接強制

 養育費等にかかる金銭債権については、直接強制の他に、間接強制の方法によることも可能です(民事執行法167条の15)。ただし、義務者が、支払能力を欠くためにその金銭債権に係る債務を弁済することができないとき、又はその債務を弁済することによつてその生活が著しく窮迫するときは、間接強制を行うことはできません(民事執行法167条の15)。
 間接強制とは、義務者が支払いを行わない場合に、一定の額の金銭を支払うべきことを命じる方法です。
 この場合、審判又は調停を行った家庭裁判所に申立てます(民事執行法173条2項)。
 間接強制の方法による場合、将来分については、6か月以内に確定期限が到来するものに関し、間接強制を開始することができます(民事執行法167条の16)。
 また、間接強制の審理においては、義務者の審尋が行われます。
 間接強制が命ぜられたにもかかわらず、養育費等を支払わない場合には、一般の金銭債権と同様、差押えにより満足を得ることになります。

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