財産分与や慰謝料に税金はかかりますか。

財産分与や慰謝料

 離婚時に財産分与や慰謝料として金銭を取得する場合や、財産分与として不動産その他の財産を取得する場合があります。
 これら財産を取得する側、または、財産を支払う側において、どのような税金を考慮する必要があるのでしょうか。
 以下では、財産を取得する側と財産を支払う側に分けて解説します。

財産を取得する側の課税

(1)財産分与
  財産分与により財産を取得した場合、贈与により取得した財産とはいえず、贈与税は課せられないのが原則です。
  ただし、分与に係る財産の額が婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮してもなお過当であると認められる場合における過当である部分や、離婚を手段として贈与税若しくは相続税のほ脱を図ると認められる場合における当該離婚により取得した財産の価額は、贈与税の対象になる可能性があるため、注意が必要です(相続税法基本通達9-8)。
(2)慰謝料
  離婚に伴い慰謝料を取得した場合、慰謝料は損害を回復するために受けとる金員であるため、所得税等は課せられません(所得税法9条1項17号、所得税法施行令30条)。
(3)不動産売却時の取得費
  財産分与に取得した不動産を、将来売却する場合の、譲渡所得税における取得費は、財産分与時の時価になります(所得税法基本通達38-6)。

財産を支払う側の課税

(1)財産分与
  財産分与を金銭により支払う場合には、特段の課税関係は生じません。
  一方、不動産その他の資産により支払う場合には、資産の譲渡として、譲渡所得が課税されます(所得税法33条1項)。
  この場合、財産分与の対象の財産を時価で譲渡したものとして、譲渡所得税が課税されます。
  具体的には、財産分与対象財産の時価から対象財産の取得費や譲渡費用を差し引き、残額の30%が税額となるのが原則です。
  ただし、居住用不動産を分与する場合には、3000万円の特別控除を利用できる場合や(租税特別措置法35条)、長期譲渡所得勢についての軽減税率の特例を利用できる場合もあります(租税特別措置法31条、31条の3)。
  なお、不動産を与える旨の財産分与契約を締結したものの、契約当時、高額の譲渡所得税が課せられることを認識していなかった場合には、錯誤が認められる可能性があり得ます(最判平成元年9月14日)。
(2)慰謝料
  慰謝料を支払う場合には、金銭による支払いであり、特段の課税関係は生じません。

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