夫婦の共有名義の不動産がある場合、どのように財産分与されますか。

夫婦の共有名義の不動産

 夫婦が自宅を購入する場合、単独名義で購入する例も多いと思いますが、一方で、夫婦が共有名義によって自宅を購入する例も多いと思われます。
 夫婦共有名義の不動産がある場合、離婚後は両者が共同して利用することは考えられないため、離婚時に当該不動産をどうするかが争点になることがよくあります。
 それでは、夫婦の共有財産である不動産は離婚においてどのように取り扱われるのでしょうか。

原則的な処理方法

 まず、多い例としては、一方当事者が自宅にそのまま居住し続ける一方、もう一方の当事者は別に住む形で離婚するということが考えられます。
 このような場合には、自宅を出ていく側が所有する持分を、自宅に住み続ける当事者が取得する代わりに、一定の金銭を支払う、という解決方法が考えられます。
 離婚調停等においても、このような解決を勧められたり、実際にこのような形で解決することも多いと思われます。
 そして、離婚訴訟における判決に至った場合にも、一方の当事者が不動産の全部の持分の取得を希望し、他方が持分にはこだわらず金銭の給付を求めている場合には、持分の移転登記と金銭の支払を認める例もあります。
 たとえば、東京高判平成10年2月26日も、妻から夫への不動産の共有持分についての全部移転登記手続と、夫から妻への金員の支払を同時履行すべきものとして認めています。
 ただし、上記のような解決例は、あくまで、夫婦両者が、一方が共有持分全部を取得することに同意している場合に限られます。
 夫婦の一方が、共有持分の移転を拒んでいるような場合には、上記のような解決にはならず、不動産が夫婦の共有名義のまま、離婚に至ってしまうこともありえます。

ローンがある場合

 夫婦夫婦両者が、一方が共有持分全部を取得することに同意している場合でも、ローンが残っている場合には注意が必要です。
 一方が共有持分全部を取得する場合、通常は、取得者がローンも全て引き継ぐはずですが、ローンの引継ぎには、債権者である金融機関の同意が必要であるからです。
 したがって、ローンがある場合には、金融機関の同意を得られる見込みがあるか否かを事前に確認しておく必要があります。

共有名義のまま離婚してしまった場合

 共有名義のまま離婚してしまった場合、離婚後は、居住している当事者は、出ていき持分を有している当事者から、持分に基づき、損害賠償請求を提起される可能性がありえます。離婚前には、夫婦間の扶養義務に基づき、上記のような損害賠償請求権は発生しませんが、離婚後であるため、そのようなリスクがありえます。
 また、共有名義の自宅だと、通常は売却も難しいことが多いといえます。
 このような場合に、共有を解決する手段としては、共有物分割請求訴訟を提起することが考えられます。

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