離婚Q&AQUESTION
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民法752条は、「夫婦は同居し、互に協力し扶助しなければならない。」と定めており、同居義務を定めています。
同居義務は、強行規定であり、この規定に反する夫婦間の契約は無効と考えられています。
ここでいう、「同居」とは、単なる場所的な意味を言うのではなく、夫婦としての同居を指すと考えられています。
したがって、同じ屋根の下でも生活を別にするいわゆる家庭内別居は、同居ではないと考えられます。
上記のとおり、同居義務は強行規定であり、この規定に反する夫婦間の契約は無効と考えられています。
したがって、無期限に別居するといったような契約はもちろん無効になります。
ただし、夫婦の一方が単身赴任するといったような場合まで、民法752条が同居義務の履行を要求しているとは思われず、このように別居がやむを得ないという場合には、同居の権利を侵害しているとは考えられません。
同居すべき場所に関しては、夫婦の一方が決めることは出来ず、夫婦の協議に基づいて定める必要があります。
万が一、場所に関しては協議が整わないような場合には、家庭裁判所の調停や審判などによって決定することも可能です。
ただし、同居すべき場所が決まっていても、同居した場合には虐待されるなどといった場合には、同居を請求することは権利の濫用になると考えられます。
一方、夫婦の一方が特段の理由もなく、同居を拒否することも、同居義務に反することになります。
同居義務に関して争いがある場合、裁判手続き上どのように争うことになるのでしょうか。
最決昭和40年6月30日は以下のように述べています。
「しかし、前記同居義務等は多分に倫理的、道義的な要素を含むとはいえ、法律上の実体的権利義務であることは否定できないところであるから、かかる権利義務自体を終局的に確定するには公開の法廷における対審及び判決によつて為すべきものと解せられる(旧人事訴訟手続法〔家事審判法施行法による改正前のもの〕一条一項参照)。従つて前記の審判は夫婦同居の義務等の実体的権利義務自体を確定する趣旨のものではなく、これら実体的権利義務の存することを前提として、例えば夫婦の同居についていえば、その同居の時期、場所、態様等について具体的内容を定める処分であり、また必要に応じてこれに基づき給付を命ずる処分であると解するのが相当である。」
以上からすれば、夫婦の同居義務の存否に関しては、通常訴訟によって解決すべきことということになります。
一方、同居義務があることを前提として、同居の時期、場所、態様等については、審判によって解決すべきということになります。
なお、仮に同居義務に関して審判等がなされた場合にも、同居義務の履行は、直接強制も間接強制も許されないと考えられています。