婚姻にはどのような法的効力がありますか。

婚姻の一般的な効力

 婚姻の一般的な効力について、民法750条以下は以下のとおり定めています。
①(夫婦の氏)夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する(民法750条)。
➁(生存配偶者の復氏等)夫婦の一方が死亡したときは、生存配偶者は、婚姻前の氏に復することができる(民法751条)。
③(同居、協力及び扶助の義務)夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない(民法752条)。
④(婚姻による成年擬制)未成年者が婚姻をしたときは、これによって成年に達したものとみなす(民法753条)。
⑤(夫婦間の契約の取消権)夫婦間でした契約は、婚姻中、いつでも、夫婦の一方からこれを取り消すことができる(民法754条)。

夫婦の財産関係

 夫婦間で夫婦財産契約を締結しない場合、夫婦の財産関係は以下のとおりとなります。
①(婚姻費用の分担)夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する(民法760条)。
➁(日常の家事に関する債務の連帯責任)夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負う(民法761条)。
③(夫婦間における財産の帰属)夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産は、その特有財産(夫婦の一方が単独で有する財産をいう。)とする。夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は、その共有に属するものと推定する(民法762条)。

上記以外の婚姻による効果

 上記以外にも、夫婦となることによって、以下のような法的効力があります。
①(配偶者の相続権)被相続人の配偶者は、常に相続人となる(民法890条)。
➁(遺留分の帰属及びその割合)配偶者は、遺留分として、被相続人の財産について額を受ける(民法1028条)。
③(扶養義務者)家庭裁判所は、特別の事情があるときは、3親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる(民法877条)。
④(親権者)親権は、父母の婚姻中は、父母が共同して行う(民法818条)。
⑤(夫婦間の権利の時効の停止)夫婦の一方が他の一方に対して有する権利については、婚姻の解消の時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない(民法159条)。
⑥(近親者に対する損害の賠償)他人の生命を侵害した者は、被害者の父母、配偶者及び子に対しては、その財産権が侵害されなかった場合においても、損害の賠償をしなければならない(民法711条)。

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