子ども名義の預金も財産分与の対象となるのですか

祖父母等からもらったお金は、子ども自身の財産

 子どもが祖父母や親戚等からもらったお年玉やお祝い金を、子ども名義の預金にしておくことはよくあると思います。
 また、祖父母等が、相続対策等から、孫に毎年110万円の範囲で、お金を贈与したり、まとまった教育資金を贈与することもあります。
 これらのお金は、子どもが祖父母や親戚等から贈与されたものと考えられますので、その預金は、子ども自身のもので、夫や妻のものではありません。
 ですから、この子ども名義の預金は、夫婦の離婚時の財産分与の対象財産とはなりません。
 なお、祖父母等が孫に贈与をしたお金は、孫名義の預金としておくことが大切です。
 これを夫や妻名義の預金にしてしまうと、それが子どものものであるのか、夫や妻のものであるのかが判らなくなり、財産分与対象財産と推定される可能性があるからです。

夫や妻がその収入から預金した子ども名義の預貯金は、原則として財産分与対象財産となる

 夫や妻がその給与等の収入から、将来の子どものためを思って、子ども名義で預金をしておくこともあります。
 このような預金は、名義は子どもであっても、夫や妻が婚姻期間中の収入から蓄えたものなので、原則として財産分与の対象になります。
 夫や妻がその給与等の収入から、子ども名義で預金をした場合であったも、夫や妻が子どもに贈与をしたとみられる場合には、財産分与の対象財産にはなりません。
 しかし、夫や妻が子どもに贈与したと認められるには、子どもがその預金を自分で管理して自分で使える状態になっていたことが必要です。子どもが未成年者等で、その預金は親である夫や妻が管理していた場合には、贈与したものとは認められないでしょう。
 なお、夫婦が子ども名義の預金は、財産分与対象財産としないことを合意すれば、これを財産分与対象財産からはずすことはできます。

大阪高裁平成26年3月13日判決について

 この判決の事案では、長男及び二男名義の預金が財産分与の対象財産となるかが争われ、裁判所は、「控訴人(夫)が非常に経済的に余裕のある医師であること、並びに、贈与と表現するかどうかはともかく、世上、預金返還請求権を名実ともに子に帰属させる趣旨で贈与税の課税限度額を超えない範囲で子名義の預金を開設することもよくあることを考慮すると、当該預金が借名預金であることが具体的に立証されない限り、子名義の預金が婚姻共同財産の一つとして財産分与の対象財産になるものとはいえない」と判示しました。
 この事案は、妻側は、預金の原資がお食い初め等でもらったものであると主張しており、預金の原資が夫の収入からであるかどうかも明らかでなかったこと、他に高額の財産分与対象財産があったこと等から、やや特殊な事案といえるでしょう。

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