親権者を決定する際、裁判所ではどのような調査が行われますか。

親権者を決定する際の事実の調査

 裁判所が子の親権者を決定する際には、厳格な証拠調べの方式によらない事実の調査の手続が認められています(家事事件手続法56条1項)。
 厳格な証拠調べの方式とは、民事訴訟手続に則り、書証や人証等の証拠を取り調べることをいいますが、「事実の調査」は、証拠調べによらずに裁判の基礎となる資料を収集する手続であり、特に方式などは決められておらず、無方式なものと考えられています。

家裁調査官による事実の調査

 「事実の調査」において、親権者を決定する際に最も重要なのは、家庭裁判所調査官による事実の調査です(家事事件手続法58条)。
 具体的には、以下のような調査が行われます。
 

(1)家裁調査官

 家裁調査官は、心理学、社会学、教育学、社会福祉学等の人間関係諸科学の専門知識を有する者とされており、子の監護状況、子の意向等を調査します。

(2)家裁調査官が行う調査

 家裁調査官が行う調査としては、以下のようなものがあります。
 ① 親の面接調査
   親に対して子の事情等を聴取します。これを行ったうえ、子への調査方法等が検討されるのが通常です。
 ② 家庭訪問
   子の日常生活を把握するために、家庭訪問を行う方法です。後述の子の面会調査や交流観察と同時に行うこともあります。
 ③ 子の面接調査
   子に対して、現在の生活や、父母に対する気持ち等を聴取します。一般的には、親の同席は控え、家裁調査官と子のみとが面接をすることが多いといえます。特に、子がある程度の年齢に達しているときはそのような運用となっています。
   なお、親権者の指定についての裁判をするにあたって、子が15歳以上の場合には、必ず子の陳述を聴かなければならないとされていますが(人事訴訟法32条4項)、15歳未満の子の場合にも、子が自身の意見を表明できる年齢の場合には、子に対する面接が行われるのが通常です。
 ④ 交流観察
   子と親などの関係を直接確認するため、家庭裁判所の児童室などで、子と親に遊んでもらい、観察する、という方法です。
 ⑤ 第三者機関への調査
   子が通っている保育園、幼稚園、学校、児童相談所などに対して調査を行う方法です。

家裁調査官による事実の調査の手続

 親権が争われているケースにおいても、全ての事件について家裁調査官の事実の調査が行われるわけではありません。親権に関して最終的には争っていないと裁判所に判断された場合には、事実の調査が行われない場合もありえます。
 家裁調査官による調査が行われるのは、争点を整理した後であるのが通常です。
 調査を行う際には、裁判所が調査事項を定めたうえ、調査命令を発します。
 そして、当該命令に基づき、家裁調査官は、当事者に対して調査方法等を説明の上、上記のような調査を行います。
 家裁調査官は、以上の調査を実施したうえ、報告書を作成し、裁判所に提出します。
 この報告書には、子の監護状況や子の意向が記載されるとともに、調査官による親権者の指定に関する意見も記載されます。この調査官による親権者の指定に関する意見は、実務上も、最終的な親権者の決定においても重要な意味を持つことは多いといえます。
 提出された報告書は、通常、当事者が閲覧、謄写することができ、調停・訴訟の資料として利用されます。

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