親権とはなんですか。

親権とは

 親権とは、親子関係にもとづく法的効果のことをいいます。
 親権とは、親の子に対する権利の側面もありますが、一方で、子に対する義務も伴います。
 親権の具体的な内容としては、①身上監護権、②財産管理権になりますが、以下ではそれぞれについて解説します。

身上監護権

 民法820条は、「親権を行う者は、子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う。」と定めており、これを身上監護権といいます。
 身上監護権の具体的な内容として、①居所指定権、②懲戒権、③職業許可権、④妨害排除請求権(子の引渡請求権)があります。
 ①居所指定権は、民法821条において、「子は、親権を行う者が指定した場所に、その居所を定めなければならない。」と定められています。
 ➁懲戒権は、民法822条において、「親権を行う者は、第820条の規定による監護及び教育に必要な範囲内でその子を懲戒することができる。」と定められています。もちろん、懲戒権があるとはいっても、虐待その他行き過ぎた行為が許されないことは言うまでもありません。
 ③職業許可権は、民法823条1項において、「子は、親権を行う者の許可を得なければ、職業を営むことができない。」と定められています。ここで、「職業」とは、未成年者が自身で営業を営むことのみならず、雇用されることも含むと考えられています。また、親権者は、一度許可を与えても、未成年者がその職業に堪えることができない事由があるときは、許可を取消したり制限したりすることができます(民法823条2項)。
 ④身上監護権の内容として、親権の行使を妨害されている場合、親権者は妨害排除を請求することができると考えられています。具体的には、子が不当に拘束されている場合に子の引渡を求めることができます。

財産管理権

 民法824条本文は、「親権を行う者は、子の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為についてその子を代表する。」と定めており、これを財産管理権と言います。
 財産管理権の具体的な内容としては、①財産管理、②代理権があります。 
 ①財産管理については、民法827条は、「親権を行う者は、自己のためにするのと同一の注意をもって、その管理権を行わなければならない。」と定めており、義務の程度が軽減されています。また、たまに問題となる規定として、民法830条の「無償で子に財産を与える第三者が、親権を行う父又は母にこれを管理させない意思を表示したときは、その財産は、父又は母の管理に属しないものとする。」といった規定もあります。
 ②代理権については、民法824条が定めるとおりですが、民法824条但書には、「ただし、その子の行為を目的とする債務を生ずべき場合には、本人の同意を得なければならない。」と規定されています。
 また、夫婦が婚姻中は、親権は共同行使する必要がありますので、代理権も夫婦共同で行う必要があります(民法818条3項)。

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