- 弁護士
- 本橋 美智子
親の責務と親子交流
新民法817条の12 親の責務等
共同親権等を定めた新民法(令和6年法律第33号)が、いよいよ令和8年4月1日から施行されます。
この新民法の施行を期待して待っている方も少なくないと思います。
ここでは、まず新民法817条の12と面会交流について、若干説明したいと思います。
新民法817条12は、以下のように定めています。
「 1 父母は、子の心身の健全な発達を図るため、その子の人格を尊重するとともに、その子の
年齢及び発達の程度に配慮してその子を養育しなければならず、かつ、その子が自己と同程
度の生活を維持することができるよう扶養しなければならない。
2 父母は、婚姻関係の有無にかかわらず、子に関する権利の行使又は義務の履行に関し、そ
の子の利益のため、互いに人格を尊重し協力しなければならない。」
この条文は、一般条項で抽象的な書き方ですので、この条文から何が言えるのかについては、必ずしも明確ではありません。
関係府省庁等連絡会議Q&A形式の解説資料
「父母の離婚後の子の養育に関する民法等改正法の施行準備のための関係府省庁等連絡会議」は、令和7年6月30日取りまとめのQ&A形式の解説資料(以下「Q&A」という)を公表しています。
そのうち、Q「どのような行為が父母相互の人格尊重・協力義務に違反するか」のAには、「個別具体的な事情によっては、父母相互の人格尊重・協力義務に違反すると評価される場合がある」として、以下の場合があげられています。
①父母の協議や家庭裁判所の調停・審判により親子交流についての定めがされたものの、父母の
一方が特段の理由なくこれを履行しない場合
②父母の一方が、養育費や親子交流など、子の養育に関する事項についての協議を理由なく一方
的に拒否する場合
これによれば、協議、調停、審判によって定められた親子交流(旧「面会交流」)を子の監護者が履行しない場合、監護親が親子交流についての協議を理由なく拒否する場合には、父母相互の人格尊重・協力義務違反になる可能性があるのです。
父母相互の人格尊重・協力義務違反の効力
新民法には、父母の一方がこの人格尊重・協力義務に違反した場合の効力についての規定はありません。
この点について、Q&Aは、「父母の一方が父母相互の人格尊重・協力義務等に違反した場合には、親権者の指定又は変更の審判、親権喪失又は親権停止の審判等において、その違反の内容が考慮される可能性がある。」と記載しています。
更に、人格尊重・協力義務違反を理由として、相手方に対し損害賠償請求をすることはあり得ると思います。
また、この義務違反を理由として、監護者の指定・変更の可能性も考えられます。
今後、この条文を手掛かりとして、親子交流の適正な実施がされることを期待しています。
