弁護士
本橋 美智子

子の「主たる監護者」って何?

 子の「主たる監護者」の概念

 子の監護者指定、子の引渡し事件においては、よく子の「主たる監護者」という概念が使われます。
 子の「主たる監護者」とは、特に年少の子について、子の出生以来、主として子を継続的かつ適切に監護してきた一方の親を意味し、子の監護者指定において、「主たる監護者」による監護の継続性を重視するという観点から、この概念が使用されてきました。
 そして、これまでは往々にして、子の出生からの子の育児時間、子との接触時間の量的長短から、「主たる監護者」を認定することが多かったのです。

 妻の育児休業と夫の育児休業の差

 現在では、子を持つ夫婦の約8割が共働きであり、ほとんどの夫婦が育児休業を取得しています。
 しかし、夫と妻の育児休業の取得率、取得期間は大きく異なっています。
 厚生労働省の調査では、女性の育児休業取得率は8割代で、その取得期間は9割以上が6か月以上であるのに対し、男性の育児休業取得率は4割、取得期間は約4割が2週間未満、約5割が1か月未満となっています。
 この育児休業の著しい男女差からもわかるように、子の乳幼児期には、圧倒的に妻の育児時間の方が長くなっているのです。
 このような現状では、夫がいくら2週間程度の育児休業をとり、保育園への送り、入浴、寝かしつけ等を行ったとしても、量的育児時間からみると、妻が子の「主たる監護者」と認定されてしまうのです。

 「主たる監護者」の概念は不相当

 このような結論は納得いかないと考える方も少なくないと思います。
 一部の学説や実務でも、父母が子の監護養育を協力して行っている場合には、父母いずれが「主たる監護者」であるかを認定することは困難であり、認定する必要もないという考え方も出てきています。
 少なくとも、夫と妻のそれぞれの育児時間を計って、育児時間の長い親を「主たる監護者」とする考え方は、男女共同参画時代にはそぐわず、一方的に妻に育児を背負わせる結果にもなりかねないと思います。

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