弁護士
本橋 美智子

養育費と面会交流の関連

養育費の支払いと面会交流は、法律的には関連しない。

 離婚後の養育費の支払いと面会交流の実施とは関連しないとされています。
 養育費の支払いは、親の子に対する扶助義務ですから、面会交流の実施とは直接関係しないのです。
 ここでは、母が子の監護親である場合を例に説明しますと、母が子と父との面会交流を行わないからといって、父が子の養育費を支払わないということは許されません。
 また、逆に、父が子の養育費を支払わないからといって、母が子と父との面会交流をやめることも許されません。

養育費の支払いと面会交流は、感情的には関連する。

 しかし、父の立場からみると、子と面会交流ができず、子の成長の様子を直接知ることができないのに、養育費だけ支払うというのは、納得できない気持ちにさせられることが多いと思います。
 また、母の立場からみると、父が養育費をきちんと支払わないのに、子との面会交流を要求してくることはやはり納得できないでしょう。
 ですから、法律的には、養育費の支払いと面会交流は関連しないのですが、感情的には、関連すると言ってもよいでしょう。
 離婚後も、子が健全に育っていくためには、子の養育についての父母の信頼関係が重要であり、そのためには、養育費の支払いと面会交流が滞りなく行われることが大切なのです。

スムーズな養育費の変更のために

 子が小学生のときに決めた養育費は、子の成長に伴って実情に合わなくなってくることがあります。
 特に、子が私立高校や大学に入学する場合の学費等の負担については、その額が高額であることもあり、父に負担を頼みたいと思うことが多いと思います。
 このような場合に、父が事前に子の私立高校や大学入学に同意していたかどうかが、負担義務を決める重要な要素になります。
 面会交流を通じて、日頃から子の将来の希望や進学したい学校について聞いていれば、父は子の学費等を負担しようと思うでしょう。
 しかし、子との面会交流が全くなく、子の進学希望も全く聞いていないのに、突然母から子が○○高校に入学したから入学金を振り込んでくれといった連絡がきたらどう思うでしょうか。
 このように、将来の養育費の変更をスムーズに行うためにも、面会交流を実施しておくことが役に立つのです。

ニューヨーク州法

 令和2年4月に公表された法務省民事局の「父母の離婚後の子の養育に関する海外法制について」によると、アメリカニューヨーク州の家族関係法には、以下の規定があるとのことです。
 「裁判により支払を命じられた養育費を受領している同居親が、裁判により命じられた面会交流を不当に妨害した場合には、裁判所はその裁量において、面会交流が侵害されている間、養育費の支払いを停止するか、支払遅滞による責任を免除することができる。」
 日本には、このような規定はありませんが、養育費の支払いと面会交流を法的にも関連づける法制もあることは、参考になるでしょう。