弁護士
本橋 美智子

別居契約のすすめ

配偶者との別居を決意したときにすること

 理由は様々あると思いますが、配偶者とこれ以上一緒に生活できない、別居するしかないと思った時に、どのような手順で別居するかは、その後の離婚手続や親子関係等に影響する重要な点です。

突然子連れ別居型

 妻が、夫には内緒で準備をした上で、事前に夫に知らせることなく、突然子を連れて別居をするパターンが、少なからずあります。
 妻とすれば、事前に夫と別居の話合いをしても、夫が応ずるわけがない、話合いの過程での暴言や暴力が怖いなど、様々な事情があって、このような行動に出るのだと思います。

突然子連れ別居型の問題点

 妻は、子を連れて別居し子の監護をしていれば、離婚手続において子の親権者となることができると考えていると思います。
 確かに、現在の離婚実務では、子の主たる監護者による監護の継続性が重要視されるので、子連れ別居をした妻が子の親権者になることが多いのが実情です。
 しかし、この方法は、夫の側に、怒り、悲しみ等の負の感情を強く植え付けることになり、その後の離婚手続の紛争性が非常に高まることになります。
 そして、場合によっては、未成年者略取罪等の犯罪を生むことにもなるのです。

円満な離婚のためには別居契約を

 離婚はそれ自体紛争性が高いものですから、円満な離婚というのは、ある意味では、言語矛盾かもしれません。
 しかし、現実の離婚には、紛争性の非常に高いものから比較的円満なものまであることは事実です。
 そして、離婚するのであれば、できるだけ円満な離婚をすることが、離婚による子への影響を最小限にすることにつながります。
 そのためには、別居の前後の時点で、別居から離婚までの夫婦、親子の問題について、契約を締結しておくことが望ましいでしょう。

別居契約の内容

 別居契約で合意する主な内容は、以下の項目です。
 勿論、夫婦によって、必要な項目は異なりますので、これはあくまで、一般的に考えられる項目です。
① 別居の方法
   夫と妻のいずれが自宅を出るか
② 子の監護者
   夫と妻のいずれが子の監護をするか
③ 非監護者と子との面会交流
   面会交流の日時、場所、頻度、学校行事への参加など
④ 婚姻費用の支払
   金額、支払い方法
⑤ 夫婦の預貯金や財産の管理方法
⑥ 別居中の夫婦の連絡方法、双方の両親、親族との交際の方法など
 このような内容を別居の前後に決めることは難しいと考える方も多いとは思います。当事者が直接話し合いをして決めることができない場合には、別居契約の交渉を弁護士に依頼することもひとつの方法です。
 離婚紛争を拡大させることが、真の弁護士の役割ではないのです。